Ten years after the transition of "terrestrial digital broadcasting", the TV sales floor of a changing consumer electronics retailer

Ten years after the transition of "terrestrial digital broadcasting", the TV sales floor of a changing consumer electronics retailer

I regret the 10 -inch up on the TV I'm watching now

 天井から吊るされた大きなオリジナルPOPが目を引くビックカメララゾーナ川崎店では、3階の入り口正面に立つと、60型以上の有機ELや液晶テレビがずらりと並んだコーナーが広がる。メインの入り口は2階にあるが、テレビ売り場が家電量販店のエントランスに陣取るのは、それこそ10年前の「地デジバブル」以来のことではないだろうか。当時は地上デジタル放送への完全移行に向けて、古いアナログチューナー搭載テレビからの買い替えが進み、テレビ売り場は順番待ちの整理券が配られるほどの活況だった。 あれから10年、新型コロナという当時はまったく想像もつかなかった事態に見舞われた。とりわけ緊急事態宣言などの影響で都市部の家電量販店は苦戦を強いられたが、実際に売り場を取材してみるとテレビの売れ行きは好調だった。  ビジュアルコーナーの堅田靖隆主任は「巣ごもりによるおうち時間を充実するために、大画面のテレビの購入にやってくるお客様が増えている」と語る。最近のテレビはパネルの薄型化が進み、画面の枠も狭額縁になっているため、55型でも置き替えられることをアピールしているという。 21年9月のラゾーナ川崎店における65型液晶テレビの販売台数は前年同月比130%以上、有機ELテレビは同160%と、大画面や高付加価値のテレビが売れている。「2010年や11年ごろに購入したお客様が買い替えに来店されるケースが多い。中には故障したわけでなく、好きなアイドルのオンラインライブが見たいからという理由で買われた方もいた」と堅田主任は語る。 シャープの売り場には、07年当時の46型AQUOSに映像を出力しながら、最新の60型4K液晶AQUOSを比較展示していた。「10年前から驚きの超進化!」とうたった天吊りPOPを飾り、サイズの大きさや画質の違いをわかりやすく展示している。  昔の46型AQUOSの実寸である高さ76.1センチ×幅112.7センチは、狭額縁になった今の55型テレビとそれほど変わらない。10インチ程度のサイズアップで買い替えてしまうと、せっかく買ったテレビも小さく感じてしまうという。そのため、65型以上の買い替えを提案する。イメージでは「65型なんて入らない」と思っても、実際の比較コーナーを見ると、そうしたイメージが払しょくされる。  確かに、ビックカメラでもコロナ禍によってネットのEC売上比率は18.8%と高まった。21年8月期連結決算のEC売上高は1564億円(前期比108.9%)と伸長している。しかし、テレビのサイズ感や画質、音質はネットでは確かめられない。リアルの店舗で確認することで、自らのイメージとの違いが明らかになるだろう。

The sales volume of television in 2020 is the same as in 2007

 家電量販店・ネットショップのPOSデータを集計する「BCNランキング」によると、20年の薄型テレビの販売台数は07年並みだったことがわかる。07年の販売台数を100とした指数でみると、20年は104.1だったのだ。  いわゆる地デジバブルは、09年(177.8)、10年(344.9)、11年(286.5)、12年(117.3)の一山を差す。翌年の13年以降は反動減によって19年までの7年間、100を超えることはなかった。それが20年は07年の水準を上回った。もっとも、特別定額給付金や巣ごもり需要などの後押しがあったとはいえ、地デジバブル期に購入したテレビの買い替え期に突入しているのは明らかだ。 次に訪れたのはビックカメラ新宿西口店。テレビ売り場がある3階にエスカレーターで昇ると、赤とグレーの2色に分かれたソニーのコーナーが出迎えてくれる。赤には、BRAVIAの65型有機EL、グレーには75型4K液晶テレビが展示してある。いずれも最新の映像処理エンジンの要となるXRプロセッサー搭載モデルの比較で、まずは顧客自らが違いを確かめながら、画質やサイズの好みがわかるように導く。

Customer service and experience unique to real stores

 ビジュアルコーナーの丸山慶将さんは「有機ELと液晶の違いについて、ご存じではないお客様も多いので、まずは違いを説明する。明るい場所でも有機ELはきれいに映ることもアピールしている」と、コーナーの狙いを説明する。  「ネットでスペックを見ただけでわかる方は少ないだろう。テレビはメーカーごとに色づかいが違うし、ネットで音の違いはわからない。お客様の好みをうかがいながら最適なモデルを提案する」と、リアル店舗の接客ならではのメリットを語る。 例えば、パナソニックのビエラはテレビ画面の上や横から包み込むような立体音響が特徴的だが、そのことが体感できるようにPOPでもわかりやすく伝えている。音の訴求について丸山さんは、「コロナでNetflixやAmazon prime videoなど家で映画や音楽を楽しむ環境が広がった。画質だけでなく音が良くなっていることを説明する」と語る。シアターバーのセット提案も顧客に響くそうだ。  最後にビックカメラの主力店舗で導入している、ソニーのBRAVIA4台による比較コーナーも、テレビ選びで迷っている人におすすめだ。有機ELや液晶の違い、サイズの違い、画質や音の違いがわかりやすいからだ。  この比較コーナーが秀逸なのが、タッチパッドのボタンを押すと4台の映像がすべて切り替わり、同じ映像が同じスピードで再生される。いわばガチンコ勝負の画質や音の比較ができる。液晶は少し斜めから見たら視野角が狭くなって色が薄くなるが、有機ELなら斜めからでも鮮やかに見えたりすることがわかる。一方で液晶は値ごろ感もあり、有機ELよりも大画面が選択できるメリットがある。  六つのボタンを押すたびにコンテンツは切り替わり、有機ELと液晶のいろいろな違いがわかるようになっている。もちろん、デモ映像だけでなく実際の家で見ているのと一緒のテレビ放送も映して比較できる。ぜひ比較コーナーがある店に行ったら、ボタンを押して自分の目と耳で違いを確かめてほしい。次回は郊外店の様子を見ていこう。(BCN・細田 立圭志)【お詫びと訂正】初出時のタイトルは「地デジ開始」となっておりましたが「地デジ移行」の誤りでした。訂正いたします。*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計しているPOSデータベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。

 「地デジ」移行から10年、変わる家電量販店のテレビ売り場