Windows 11の必要スペック、わかりにくすぎるから解説します

Windows 11の必要スペック、わかりにくすぎるから解説します

実にわかりにくい…。

TPM、CPU、UEFI(システム要件のこと)などなど、Windows 11へのアップグレードに必要なシステム要件を理解するのはとても難しいです。さらにMicrosoft(マイクロソフト)は、アーリーアダプター向けに最初の 「Insider Preview Build」 をリリースしましたが、わずか数時間後にその要件を変更してしまいました。そこでここでは、Windows 11を動作させるために必要な要件を正確に解説しましょう。

CPUについて。CPUはコンピュータの頭脳であり、マシンのパフォーマンスに重要な影響を与えます。もともとのシステム要件では、第8世代のIntel Coreプロセッサー(2017年に発売)、AMD Zen 2プロセッサー(2019年の発売)、Qualcomm(クアルコム)の7/8シリーズプロセッサ、そしてそれ以降に発売されたCPUがWindows 11へと対応していました。

しかし、このシステム要件のために、多くのデバイス(高価なMicrosoft Surface Studio 2も)がWindows 11に対応できませんでした。そこでマイクロソフトは、現在プレビュー版にて第7世代のIntel CoreとAMDのZen 1をテストしており、性能を確認するつもりです。実際、同社はプロセッサに関する詳細の発表を見送っています。ただし、少なくとも今のところInsider Preview BuildではCPU要件を満たす必要はありません。

マイクロソフトはこの理由について、Windows 11の信頼性、安全性、および互換性を維持するため、特定の古いハードウェアに対応する必要があると述べています。つまりパフォーマンスの問題ではなく、生体認証システム「Windows Hello」などの機能が関係しているのです。

Windows 11の現在のシステム要件は、1GHz以上で動作する複数コアを搭載した64ビットCPUだと説明されています。また、4GB以上のRAM(コンピュータの作業領域)と64GB以上のストレージ(OSやアプリケーションの保存場所)も必要です。

Windows 11の必要スペック、わかりにくすぎるから解説します

Windows 11では、最新のグラフィック規格「DirectX 12」のサポートも必要です。しかしDirectX 12は「Windows 10」 とともに2015年にリリースされた古い規格であるため、問題はないでしょう。また、9インチ以上かつ720p解像度以上のディスプレイも必要です。さらにMicrosoftアカウントやインターネット接続も必要となります。

PCはUEFI(Unified Extensible Firmware Interface)によるセキュアブートをサポートしている必要もあります。UEFIはハードウェアとOS間のやり取りを管理するシステムですが、以前のBIOS(Basic Input/Output System)の代わりとして登場してからすでに数十年が経っているため、これも問題にはならないでしょう。

一番わかりにくいのは、バージョン2.0のTPM(Trusted Platform Module)というシステム要件です。ただありがたいことに、この要件もInsider Preview Buildの段階では免除されています。

TPMは簡単に言えば、追加のセキュリティ機能です。これはCPUやコンピュータのマザーボードに搭載されたチップで、不審な動作を監視して保護します。その対象はランサムウェア攻撃や、PCに侵入しようとするマルウェアなどです。TPMは既存のソフトウェアレベル (アンチウイルスソフトなど)だけでなく、ハードウェアレベルのセキュリティも追加し 、侵入者を警告するアラームのように機能します。

TPMのもうひとつの主な役割は、パスワードや暗号化キーなどの機密情報を安全に保存することです。これはハードドライブ(HDDなど)とは別の場所にあるため、ドライブ上のデータを他人が読み取ることが困難になります。つまりPCからストレージを取り外しても、TPMがないため暗号化されたデータは読み取れないのです。

TPMは5〜6年前からPCに搭載されているため、古いマシンでなければ搭載されている可能性があります。これを確認するには、PCに搭載されているCPUをインターネットで検索し、TPMの有無を確認し、また必要なら機能を有効にしましょう(なお、メーカーによって異なる名前が付けられていることもあります)。TPMチップは自分でも取り付けることもできますが、作業はかなり複雑です。

マイクロソフトはTPM 2.0に関する混乱を受けて、Windows 11との互換性を確認する「PC Health Check」アプリを引き下げました。このアプリはPC部品が要件を満たしているかどうかや、TPM 2.0チップが存在するかをユーザーには教えず、単に合格か不合格化を教えるものだったのです。

マイクロソフトによると、Windows 11の正式配布前には改良されたPC Health Checkアプリがリリースされます。それまでは、たとえばオープンソースの「WhyNot 11」などのツールで、必要な要件を満たしているかが確認できます。

スタートメニューの 「設定」→「システム」→「バージョン情報」 から利用できるWindows 10の診断ツールでは、PCのスペックを確認できます。しかし、CPUの世代を調べるには、もう少し調査が必要かもしれません。Windows 11へのアップグレードに関するマイクロソフトからのリリースはこちらを、アップグレードのガイドについてはこちらの記事をご参照ください。