今年のCES、ベストノートPCはこれ! 変わりダネも豊作 #CES2022

今年のCES、ベストノートPCはこれ! 変わりダネも豊作 #CES2022

ノートPCってまだまだ進化の余地がある。

Intel、AMD、そしてNvidiaから新プロセッサーやグラフィックカードの発表があり、CES 2022はPCの発表イベントとして盛り上がること必至でした。閉幕した今、その盛り上がりは期待以上だったと言えます。今年はいろんな端末があって、ただのクラムシェル型ラップトップを中身だけ入れ替えた、みたいなのじゃないものがたくさんありました。

今回CESで見たベストなラップトップは、ふたつにきれいに大別できます。ひとつは実際に買おうかなと検討するタイプのもの、もうひとつはもっと野心的な(ときに奇妙な)、最新テクノロジー搭載デバイスです。

それらに共通しているのは、AMDやIntel、Nvidia発の最新チップです。Intelの第12世代Core HシリーズのモバイルCPUとAMDのRyzen 6000チップは、ウルトラスリムまたはハイエンドなノートPCのためのさらなるパワーと効率性を謳い、NvidiaのRTX 3080 Tiはさらなるグラフィックス性能と高いフレームレートを新世代のゲーミングPCにもたらします。

この記事では、過去の焼き直しみたいなノートPCとか、コンセプト倒れ的なものは外して、CES 2022のベストなノートPCをお届けしていきます。

Asus ROG Flow Z13

AsusはROG Flow Z13で、Microsoft Surface ProをゲーミングPC化するやり方を編み出したんだと思います。この13.4インチタブレットの一番すごいところは、最新の第12世代Intel Core i9-12900HとNvidia RTX 3050 Tiを、重量2.2ポンド(約1kg)・厚さ0.47インチ(約12mm)に詰め込んでること。ハイエンドな頭脳を持つことで、負荷の高い処理全般が可能なだけじゃなく、今どきのゲームもしっかりしたグラフィックス設定でプレイできています。

さらにAsusは、より高性能な選択肢も用意してくれてます。専用のPCIe 3.0 x8ポート経由でAsusのXG Mobile eGPUにつなげれば、ROG Flow Z13はNvidia RTX 3080やAMD Radeon RX 6850M XTを味方に付けたケモノみたいなゲーミングマシンへと変身します。なので画質をウルトラにして、またはフレームレートを高めて、リフレッシュレート360Hzの画面を最大限楽しむことができるんです。

ゲームにはキーボードが必要なので、ROG Flow Z13にもちゃんと付属してます。本体とマグネットでくっつきつつ、パーキーのRGBライティングもあるし、キートラベルは1.7mmあります。もちろん純正でないBluetoothキーボードも使えるし、USB-Aポートで有線接続もできます。ディスプレイも120Hzの1080pか4K・60HzのIPSパネルが選べます。どちらもアスペクト比は16:10。

ROG Flow Z13はモバイルゲーマーの夢のデバイスでしょうけど、ほとんどの人には夢のままになりそうです。お値段はまだ不明ですが、XG Mobile eGPU単体でも1,500ドル(約17万円)なので、まあまあなぜいたく品ですね。

Alienware x14

AlienwareのポータブルゲーミングPC、Xシリーズに、シリーズ最薄のx14が加わりました。x14はAlienware久々の14インチで、シュッとしたデザインにパワフルなパーツが詰まってます。

約4ポンド(約2kg)、厚さ0.57インチ(約14mm)のコンパクトな筐体に収まってるのは、Max構成でいうとCPUが第12世代Intel Core i9-12900H、GPUがNvidia RTX 3060、SSDは2TBのM.2、RAMは32GBのGDDR5-5200MHzです。このスペックだとグラフィックスをウルトラ設定にして重いゲームをプレイできないかもしれませんが、1080pの144Hz Nvidia G-Syncディスプレイでは、最新タイトルでもまあまあのフレームレートで動かせます。

Alienware x15にはいくつか課題もあったんですが、x14はそれを解決してるんじゃないかと期待します。もしそうなら、Razer Blade 14もうかうかしてられません。Alienware x14は今年初旬に米国で発売予定で、価格は1,799ドル(約21万円)からです。

今年のCES、ベストノートPCはこれ! 変わりダネも豊作 #CES2022

Dell XPS 13 Plus

ここ10年ほどのWindows PCの中で最重要シリーズとも言える、Dell XPSシリーズ。そこに新他に加わったのがDell XPS 13 Plusですが、現段階での評価は賛否両論です。でもXPS 13 Plusが、sXPS 13の意欲的な進化形であることは間違いありません。

XPS 13 Plusはアナログ入力をデジタルに置き換え、つまり標準のFキーを静電容量式ボタンに、従来のパームレストをタッチパッドの上のガラスシートに入れ替えました。「ゼロラティス(格子なし)」と称するキーボードは、その名前が示すようにキーとキーの間のすき間がほとんどなく、また筐体の端とキーボードの間のすき間もほぼゼロになっています。

こうした変化で、全体的な外観はよりすっきりした印象ですが、使い心地は犠牲になってないかと懸念も出ています。その判断は実際に使うときまで保留しますが、ヘッドホンジャックもなくなっていたりして、このへんは見逃しがたい変化です。

半面、たとえばクアッドスピーカーの改善や第12世代Intel Pシリーズの採用(12Wから28Wへアップ)、有機ELディスプレイのオプションなど、ナイスなアップグレードもあります。XPS 13 Plusが、その兄弟分からベストPCの座を奪うのかどうか、または逆にそのブランドを傷つけるのかはわかりません。でもだからこそ、少なくとも試してみたい気がします。

Asus ZenBook 17 Fold OLED

Asus ROG Flow Z13、やZenBook 14XOLED Space Edition、またはZephyrus Duo 16を見てもAsusのおかしさ(良い意味で)がわからない人のために、ZenBook 17 Fold OLEDをご紹介しますね。世界初、17インチディスプレイの折りたたみPCです。

Asusはこれを「ノートPC」のくくりに入れてますが、半分に折りたためるジャンボなタブレットと言ったほうがいい気がします。折りたたむことで机の上のスペースも節約できるし、バックパックにも滑り込ませられます。不思議な形だけど、おかげで使い方も増えてます。たとえば片方のパネルを90度曲げて、付属のキーボードを取り付けてラップトップモードにしたり、キックスタンドを立てて、17.3インチ・2.5K(2560 x 1920)の有機ELタッチスクリーンとして眺めたり、といった具合です。

ZenBookの内部は第12世代Intel Core i7 Uシリーズプロセッサー、最大16GBのRAM、最大1TBのストレージという布陣。Asusはバッテリーライフは言ってませんでしたが、こんなのが数時間以上持つなら逆に驚きです。価格も不明ですが、保守的に考えれば、折りたたみディスプレイ自体まだ目新しいので、10万円以上はするでしょうね。

Lenovo ThinkBook Plus

今回折りたたみとかデュアル画面のノートPCが多いのは想定内だったかもしれませんが、ThinkBook Plusはサプライズだったんじゃないでしょうか。ただインパクトは良いんですが、評価は割れてます。何しろやたら横に長くて、キーボードの右側には8インチのセカンドディスプレイが埋まってる新形態です。

Lenovoのビジネス向け製品はいつもかっちりしたものが多いんですが、エンジニアの中にはコロナ下で退屈して、なんか面白いことやろうぜってなった人たちもいたのか、CESで見た中でももっとも奇妙なデバイスのひとつができあがりました。17.3インチ・アスペクト比21:10の超ワイド画面のノートPCのキーボードの横に、8インチタブレットが埋まってるんです。

何これ?ってなるんですが、Lenovoはそのおかしみにそれっぽい理由を付けてます。いわく、メイン画面に2、3個ウィンドウを並べつつ、タブレットの方で新しいアプリを立ち上げたり、開きっぱなしのコンテンツを置いといたりできるってことです。コンテンツクリエイターの人なら、ツールバーをタブレットに置いて、メイン画面で編集する、といった使い方もできます。

便利そうにも思いますが、そのためにこの異様なワイド感とか、左寄せキーボードとかを許容できる人っていうのは、多分特殊な(そしておそらく右利きの)ユーザー層に限られてくるんでしょうね。

Asus ZenBook 14X OLED Space Edition

Asusは今回のCESでは目標を高く定めたようですが、その目標に至る前のどこかの地点に多分位置するのがこちらです。見た目が強烈なZenBook 14X OLED Space Editionは、AsusのノートPC(P6300とP6100 )がソ連のミール宇宙ステーションに運ばれてから25周年を記念するモデルです。

だからフタのデザインが独特だし、デッキにもスペースエイジへのオマージュが散りばめられてます。たとえばフタにある点々はラテン語の「ad astra per aspera(星に向かう困難を越えて)」を表すモールス信号だし、刻み込まれた模様はミールだし、弧を描く線は宇宙カプセルを意味してるそうです。

もっと興味深いのは、フタの右側に埋め込まれた3.5インチ有機ELパネルです。宇宙船のデータシートにインスパイアされたというこのパネルには、文字でもアニメーションでも画像でもカスタマイズしたメッセージを表示できます(Zephyrus G14のマトリックスグリッドみたいな感じ)。さらにダメ押しで、宇宙で使う機器に対する米国の耐久性規格、Space Systems Command Standard SMC-S-016Aにも合格させています。

ZenBook 14X OLED Space Editionはデザインだけじゃなく、スペックにも手を抜いてません。14インチ・2880 x 1800の有機ELディスプレイはリフレッシュレート90Hzでピーク輝度は550ニト、CPUはIntel Core i9 HシリーズでグラフィックスはIrix Xe、RAMはDDR5で最大32GB、ストレージは最大1TBのPCIe 4.0 NVMe M.2 SSDです。

Lenovo ThinkPad Z13とZ16

CESで一番面白かったってほどじゃないんですが、ThinkPad Z13とZ16は、Dell XPS 13 Plusみたいに、野心的な試みです。新しく出たX1 CarbonがThinkPadブランドの今風バージョンだとしたら、ThinkPad Z13はLenovoのコンシューマー向けノートPCの要素を取り入れることでThinkPadを再定義しています。

ThinkPad Z13・Z16のフタの仕様はブロンズとアークティックグレイに加えてブラックビーガンレザー(柔らかいプラスチックとも言う)もあります。ブラッシュトメタルのエッジには高級感が漂い、1080p IPSカメラを擁するウェブカムのノッチはYoga 9iから切り取ってきたようです。

デッキもかつてのThinkPadのソフトタッチではなく、総ガラスのパームレスト(これもXPSっぽい)の上に4.7インチの触覚タッチパッドが乗ってます。旧デザインから受け継がれたものがあるとしたら、それはキーボード中央に鎮座する赤いゴムのトラックポイントでしょう。

デザイン以外では、ThinkPad Z13・Z16はAMDの新Ryzen 6000 Proチップと、モバイルRDNA 2ベースのグラフィックスの採用が目を引きます。発売は今年5月、価格はそれぞれ1,549ドル(約18万円)と2,099ドル(約24万円)からです。