経費を計上するタイミングとは?|企業会計で知っておきたい発生主義・現金主義を解説 HR NOTE編集部 関連記事

経費を計上するタイミングとは?|企業会計で知っておきたい発生主義・現金主義を解説 HR NOTE編集部 関連記事

経費には何が計上できて、どのような会計処理をすべきなのでしょう。この記事では、会計処理が煩雑になりがちな方や、企業会計について詳しく知りたい方に向けて、経費計上できる内容や概念、計上するタイミングを解説します。適切な経費計上を覚えて、スムーズな会計処理を目指しましょう。

目次

1.経費とは

経費とは、事業において収入を得るために使った費用を指しています。経費として計上する金額が大きいほど、納める税額が少なくなるので節税対策となります。ただし、事業に関係しなければ、経費として計上することはできません。一般的には人件費・交通費・広告宣伝費などが、経費として該当します。

▼経費に関して網羅的に読みたい方はこちら経費とは?経費に計上できる費用、計上できない費用など経費の基礎をわかりやすく解説

1-1.経費とみなされるもの主なもの

経費として計上できるものは、多岐にわたります。ここでは、経費として計上できる費用の例を挙げて解説します。

1-1-1.従業員の給与・賞与

従業員に支払う給与や賞与は、人件費として経費に該当します。基本給のほか、通勤手当・家族手当・家賃手当・残業手といった各種手当も経費にカウントされます。また、現物支給である通勤定期券や自社製品、食事や社宅の貸与なども経費として計上できます。

1-1-2.固定資産税や事業税などの税金

租税公課として経費計上できるのは、固定資産税・事業税・印紙税・自動車税などです。事業の儲けに対して課される税金や個人にかかる税金は経費計上できないため、所得税・住民税・相続税は含めることができません。

1-1-3.交際費

経費計上できる交際費としては、取引先との会食、冠婚葬祭での香典やお祝い金などが挙げられます。来客時に用意する茶菓子・贈答品の費用も該当します。資本金1億円以下の企業は、交際費の上限が決まっており、年間800万円までとなります。

1-1-4.消耗品費

事務用品やパソコンは、消耗品費として経費計上できます。デスクなどの大型家具も消耗品費に含めることが可能です。ただし、経費計上するには条件があり、取得価格が10万円未満、または使用可能期間が1年未満のものと制限されています。

1-1-5.旅費や交通費

従業員が業務で使うタクシーやバス、列車などの交通費は経費に含まれます。また、業務に関係ある出張先での宿泊費用についても、経費計上できます。ICカードを利用して移動した場合も、利用区間の料金を記録しておけば経費として扱うことが可能です。

1-1-6.通信費

業務で使用している電話・インターネット・切手などの費用については、通信費として経費にカウントできます。テレワーク制度を導入しているなど、個人のインターネットや携帯電話を業務用として兼用している場合は、使用割合や通話料で按分する必要があります。

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1-2.経費とみなされない主なもの

ここからは、経費としてみなされないもの、売上や事業に関係ない費用の例を挙げていきます。判断に迷った際の目安にしてください。

1-2-1.所得税や法人税、住民税など

先述した通り、事業税や固定資産税は租税公課として経費計上できます。しかし、事業活動で得た所得にかかる法人税や、個人に課税される所得税・住民税は経費とみなされないので注意しましょう。

1-2-2.罰金や反則金

罰金や反則金は、必要経費としてみなされません。たとえば、従業員が営業中に社用車でスピード違反や駐車違反を犯した場合であっても、罰金が科せられるのは従業員自身です。会社の損金には該当しないので注意してください。

2.経費計上に関わる3つの概念

経費計上をする際は、会計処理の3つの概念について理解を深める必要があります。以下に、詳しく解説します。

2-1.発生主義

発生主義とは、金銭の出入りに関係なく、取引や経済的価値が発生するタイミングで経費を計上することを指しています。売上や支出が確定した段階で帳簿を付けるため、数カ月ごとの会計処理も均等に配分して計上できるので便利です。固定資産の取得価額を経費として計上する減価償却も、発生主義の考え方に基づいて会計処理を行います。

2-2.現金主義

現金主義は、実際に金銭のやりとりが行われたタイミングで経費を計上する考え方です。当座勘定取引契約が主流であった時代に普及した考え方なので、現在は発生主義で計上されるケースがほとんどです。ただし、小規模事業者は、発生主義だと経理が困難になる恐れがあるため、条件に合致する場合のみ特例で現金主義を採用するのが認められています。

2-3.実現主義

実現主義とは、未実現収益は計上せず、実現した収益だけを計上する概念のことです。取引が行われた段階では未実現利益のため、売上が入金された時点で収益を計上します。

企業会計のルールである損益計算書原則において、「未実現収益は、原則として、当期の損益計算に計上してはならない」と定められています。現金主義が適用する一部の小規模事業者を除き、収益は実現主義、その他の費用は発生主義で計上するのが一般的です。

3.経費計上のタイミング

ここからは、経費計上のタイミングについて解説します。いつ経費計上をするべきなのか、実際に帳簿をつける際の参考にしてください。

3-1.発生主義

発生主義に基づき経費計上をする場合は、以下のタイミングで実施しましょう。

3-1-1.事務用品の購入

発生主義の概念に基づいて、購入した事務用品を経費計上する際は検収基準で考えましょう。代金の支払いが済んでいるかどうかは関係ありません。注文した事務用品が正しく納品された時点で、経費として計上します。頼んだ品物と数に間違いがなければ、検収したタイミングで経費にできます。

3-1-2.クレジットカードによる決済

発生主義に基づき、クレジットカードの決済金額を経費計上するときは、決済したタイミングで帳簿づけする必要があります。たとえば、業務で使用する備品を9月にクレジットカードで購入した場合、翌月の10月に代金の引き落としがあっても、経費計上するタイミングは9月です。

3-1-3.サービスや役務など無形のもの

発生主義によりサービスや役務といった無形のものを経費計上する際は、作業が完了したタイミングで初めて帳簿をつけられます。仮に、入力作業を外注した場合、作業完了の報告を確認した時点で経費計上が行えます。

3-2.現金主義

現金主義は、支出が発生したタイミングで経費計上する必要があります。クレジットカード決済においても、決済した点で経費計上する発生主義とは異なり、銀行口座から代金が引き落とされた時点で計上します。現金が動いたタイミングで経費にできるため、代金を前払いした際は商品の受け取りの有無にかかわらず、払った時点で帳簿につけなければなりません。

4.企業における経費計上の原則は発生主義

一般的な企業だと、企業会計原則に則り会計処理が行われています。損益計算書原則において、「すべての費用及び収益は、その支出及び収入に基づいて計上し、その発生した期間に正しく割当てられるように処理しなければならない」と定められているためです。一部の小規模事業者を除き、現金主義の会計処理は用いられていないので注意しましょう。

4-1.発生主義のメリット

ここからは、取引や経済的価値が発生するタイミングで経費計上できる「発生主義」のメリットを、2つ解説します。

4-1-1.財務状況を正確に把握できる

発生主義は、経費や利益の発生に準じた処理です。これにより、正確な財務状況を素早く把握できます。また、経費や利益の事実に基づいて会計処理を行うので、架空の利益計上ができないメリットがあります。

4-1-2.税金対策に役立つ

発生主義は、毎月の損益を正確に計上できます。納税の予測金額の算出精度も高いため、税金対策の資金繰りや、事業計画を立てる際にも役立つでしょう。

4-2.発生主義のデメリット

発生主義にもデメリットは存在します。下記を踏まえて経費計上するようにしましょう。

4-2-1.会計処理が煩雑

発生主義は金銭のやり取りをしていなくても、経費や利益が発生したタイミングで経費計上するので、会計処理が煩雑です。複式簿記の帳簿づけや会計の知識が必要なため、経理初心者は挑戦しにくいといえます。

4-2-2.不正会計のリスクがある

発生主義は、現金が動いたタイミングで会計処理をしていないので、実際の収入や支出とは異なっているケースもあります。架空取引や不正な経費計上など、不正が行われるリスクがあるので注意が必要です。

5.まとめ

企業の大半は、発生主義を基に経費計上を行っています。発生主義は会計処理が難しいですが、覚えると財務状況を正確に把握できるようになります。効率よく正確に自社の経理や財務を処理するには、業務をシンプルにすることが大切です。

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