2台のiPadを組み合わせて電子書籍の見開き表示を実現する「富豪ブック」を試す

2台のiPadを組み合わせて電子書籍の見開き表示を実現する「富豪ブック」を試す

電子書籍におけるコミックの表示は、縦スクロールのように新しい試みも登場しているものの、いまのところは紙媒体と同様、見開き表示が主流を占めている。そもそも電子書籍で配信されるコミックの多くは、作品の初出が紙媒体であるか、あるいは紙の単行本化を前提としているわけで、これは当然と言っていいだろう。

最近ではWebを初出とするコミックも増えつつあるため、長い目で見れば見開き表示が前提の作品は減少していく可能性はあるが、現在活躍中の漫画家諸氏のほとんどはデビュー以来見開きを前提とした作画環境に慣れ親しんできているわけで、そのスタイルは一朝一夕に変わるものではないだろう。事実、どの漫画家の方に話を聞いても、書き手としての見開きに対するこだわりは想像以上に強いと感じることが多い。

2台のiPadを組み合わせて電子書籍の見開き表示を実現する「富豪ブック」を試す

では読む側はどうだろうか。最近は電車の中などでスマートフォンでコミックを読んでいる人を多く見かけるようになったが、そのほとんどは単ページ表示である。これは見開きが不要というよりも、単にスマートフォンの画面サイズの制限によるものだろう。手持ちのデバイスでコミックを読むために単ページ表示を現実的に受け入れる読者側と、あくまで作品を送り出す側として見開きにこだわる漫画家サイドの見解の相違が垣間見えて興味深いところだ。

と、話がいきなり脱線したが、今回紹介するのは2台のiPadを用いて見開き表示を実現するiOSアプリ「富豪ブック」だ。株式会社そらかぜがリリースしているこのアプリを使えば、左右に並べたiPadの一方に左ページ、もう一方に右ページを表示させ、ワンアクションでページをめくって見開きでの読書を楽しめる。見開き表示の申し子のようなアプリだ。

登場したのは2012年と、実はかなり以前から存在しているこのアプリ、当初は使い勝手にやや難があったように記憶しているが、iPad Proの登場をきっかけとしたリニューアルにより、最新のバージョンでは使い勝手もかなり改善されている。今回は新旧の12.9インチiPad Pro計2台を使い、このアプリの特徴を紹介しよう。

iOSアプリ「富豪ブック」。執筆時点のバージョンは2.0.0。価格は無料、広告除去のアドオンが1,200円となっている(2017年8月26日現在)iPadなどのiOSデバイス2台を用いて見開き表示が行なえる

◇富豪ブック ~真の見開き電子書籍ビュワー~を App Store でhttps://itunes.apple.com/jp/app/id576560440?mt=8