予断を許さない「8050問題」大人の引きこもり ~望まない孤独を抱えた家族~|A-LIFE株式会社のプレスリリース

予断を許さない「8050問題」大人の引きこもり ~望まない孤独を抱えた家族~|A-LIFE株式会社のプレスリリース

私たちはこれまで、引きこもりやセルフネグレクト、心の病気などをきっかけに社会から孤立し、そして誰にも看取られることなくこの世を去った故人の住まいを数多く清掃・整理してきました。ご依頼されるご家族やご親族は決まって「まさかこんなことになるなんて・・・」と言葉を詰まらせておられます。「もう少し気にかけてあげられたら良かった」「(心身や生活を)支えたくても、どうすればいいのかわからなかった」聞こえてくるのは、ご家族のこれまでの苦悩の声。私たちがご依頼主様と言葉を交わし、このような場面に遭遇することは幾度となくありました。大人の引きこもり「8050問題」は、そのひとつです。「望まぬ孤独」に苦しみ、孤独死という結末にいたる事案は、今、急速に増えています。 「引きこもり」が社会問題として認識されたのは1990年代後半とされています。引きこもりという言葉には、若年層を対象としたイメージがつきまといますが、2020年代に突入した現代において、引きこもりは必ずしも若者だけの問題ではありません。 内閣府の実施した「生活状況に関する調査(平成30年度)」からは、40歳から64歳までの引きこもりが全国に約61万人いるとの推測ができます。

平成30年度 内閣府「生活状況に関する調査」より

若年層の引きこもり問題が解決されないまま長期化、高齢化するに連れて表面化した社会問題が8050問題であり、80代の親が50代の子供の暮らしを経済的に支える家庭状況およびその状態から「8050問題」と呼ばれるようになりました。このような中高年の引きこもりは、家庭における収入の柱が80代の高齢者であるため経済的に逼迫しやすく、また親に介護が必要になった場合や親が先に死去した場合、社会から隔絶された一家は悲惨な状況に陥ってしまう恐れがあります。引きこもり状態にあることに悩み苦しむのは当事者だけではなく、その家族も同じなのです。 関西クリーンサービスは遺品整理・ゴミ屋敷清掃・特殊清掃などのサービスを展開しているため現場で8050問題を目の当たりにすることも少なくありません。特殊清掃をおこなった際の実際の事案を紹介いたします。現場は、大阪府の集合住宅でした。母娘の二人暮らしをしていた家庭で、娘さんは40代の引きこもりでした。依頼主によると、数年前に可愛がっていたペットの犬が亡くなり、その後80代のお母さんが高齢による老衰で亡くなられたそうです。そして1人になった娘さんは、お母さんの後を追うようにして1年後に孤独死しました。ベッドの上で誰にも看取られることなく、死後約三週間が経過して発見された現場は腐敗の匂いや体液が残っていました。娘さんは学生時代から登校拒否などがあり、次第に社会との接点を失い長期の引きこもりになっていたようです。「仕事はしていなかった。生活保護を受けて、昼夜逆転の生活を送っていた。」そう話すのは依頼主である亡くなった娘さんのお姉さん。弊社が話を聞かせていただく中でお姉さんの言っていた次の言葉が印象的でした。「妹の引きこもりの状況はわかっていたけど、もう大人だし、私が金銭面や生活を支援すると甘えて社会復帰がさらに難しくなると思っていた」ここに8050問題の難しさと悲惨さがあると痛感します。引きこもりの期間が長くなると、それが更に引きこもりの原因となり、自立を願うがゆえに家族も安易に手を差し伸べることができないのです。また現場には、お母さんと娘さんが日常的なやりとりをしていたメモ・手紙が数多く残されていました。「久しぶりにやきめし作りました。よければどうぞ」「お母さんありがとう」など娘さんからお母さんに宛てたと思われる手紙からは、母娘が支え合って暮らしていた様子が伝わってきます。家族を癒すペット、家族のために作る食事、感謝の言葉…引きこもりがいる家庭は決して特別なものではなく、どこにでもいる当たり前の家族なのです。一方で “誓約書”と記された一枚の紙にはこのように書かれていました。「もう死ぬって言いません。過去の事も一斉言いません。」「お母さんを傷付ける事をしないように考えて言動します」故人が、心の拠りどころとなり生活を支えてくれた母に感謝しつつも自分を責め、誓約書のような内容を書かなければいけない状況にあったことは、引きこもりの方とその家族の間には常に現状と将来に対する不安があったのだと考えられます。ここで紹介した母娘のケースは、普通に生活する中で生じた小さな歪みが引きこもり状態を生み、長期にわたって放置されることで8050問題を形成し、悲しい結末を迎えてしまったのだと感じます。

孤独死などの現場に携わる機会の多い弊社では、8050問題に強い危機感を持っています。そして8050問題が悲惨な結末をもたらす要因には以下のものがあると考えております。• 引きこもりを受け入れるには経済的負担があり、また当人の社会復帰を遅らせる恐れもあるため親類であっても身の回りの世話や金銭面の手助けをしにくい場合がある。• 引きこもりが長引くに連れて他人や社会との接点が無くなり、さらに社会復帰が難しくなる。• 高齢の親と引きこもりの子の家庭では、閉鎖的な状況が深刻になっていくため外部から問題に気づきにくい。• 家族が引きこもりであることを恥じる気持ちがあったり、当人が他者との関わりを拒んだりすることが多く、外部に助けを求めにくい。また昨今はコロナ感染症の影響を受けて、親族間であっても顔を合わせる機会が減っており、弊社に持ち込まれる孤独死の現場の清掃・整理依頼数も急激に増えています。こうした社会的な状況も8050問題のもたらす悲惨な結末に拍車をかけていると感じます。そのため高齢の親と引きこもりの子のいる家庭に対して、早期に外部からアクセスする仕組みが重要だと考えます。

引きこもりの高齢化・長期化とともに深刻さを露呈しはじめた8050問題を受けて、この度、関西クリーンサービスでは、「引きこもり」に関する意識調査を実施しました。はじめに、30代~80代の全国の男女を対象とした調査において「家族もしくは親族に引きこもりの方がいる」と答えた方は全体の6.3%でした。以下が引きこもりの方の年齢分布、引きこもり期間分布です。

グラフ①

この結果からは、50歳以上の方が30.1%と最も高い割合を占め、40歳以上に関しては全体の約61%と引きこもりの高齢化が顕著に現れています。さらに、「家族もしくは親族に40代以上の引きこもりがいる方」を対象に調査を進めると、そうした人々の多くは10年以上もの間引きこもり生活を続けていることがわかりました。期間が長くなるほどその割合は高く、調査結果は、まさに8050問題において問題視される状況を裏付けるものでした。

では、引きこもりはどういった原因から生まれるのでしょうか?

回答として目立つのは「人間関係が上手くいかなかった」「職場になじめなかった」という特定のコミュニティへ上手く所属できなかったという理由です。これらと「病気」から始まる引きこもりが多いとの調査結果になりました。外からは見えにくい障害、または心の病気を抱えていることも多く、社会や周囲からの理解が得にくいという原因が考えられます。引きこもりが始まる原因は日常に当然のように転がっているもので、且つ引きこもりになる人は他者とのコミュニケーションになんらかの不安を感じていることが強くうかがえます。

このような引きこもりは、家族の支えや外部の専門的な支援がなければ抜け出すことは容易ではありません。家族や親族の引きこもり問題の支援を外部に頼んだ経験があるかどうかに関する調査結果が次のものです。

予断を許さない「8050問題」大人の引きこもり ~望まない孤独を抱えた家族~|A-LIFE株式会社のプレスリリース

驚くことに70%以上の人がそもそも相談に行っていないのです。その理由としては「相談先がわからなかった」「解決につながる支援が見つからなかった」という回答が50%以上と多くなっていました。こうした中、引きこもりの家族が本当に必要としている支援とはいったい何なのでしょうか。

引きこもりの解決に必要な支援としては、「金銭面の支援」が50%以上、「当人の気持ちや立ち直りの支援」が45%以上となっています。このアンケート調査では、引きこもりの高齢化・長期化の問題が浮き彫りとなり、外部を交えての相談・支援が決して十分ではない実態が見えてきました。

ここではアンケート調査から引きこもりを家族・親族に持つ方の声を紹介します。長期間、本人とともに悩み、励ましてきた家族の本音は痛切なものでした。「必ずどこかに親身になって味方になってくれる人がいる。恥ずかしいという思いは分かるが先ずは相談なり何かしてほしい。誰とも接点が持てなければ、状況は動かない。誰かと接点を持つことを繰り返せば、状況は変わってくる。」(40代・男性)「殻に閉じこもらず、意地を張らず、気楽に周りのものと接するようになってほしいし、その殻から自分なりに一歩出てほしい。」(70代・男性)「経済的に困っている」(40代・女性) 「生きていれば何とかなる。自分自身の存在意義は必ずある。悲観ばかりせず前を向けば、小さくても必ず光が見えてくる。」(40代・男性) 「時には立ち止まりながらでもよいので少しずつ、一歩と言わず半歩でも前に進んで欲しい。小さなことでもできたことを喜んで。」(40代・女性)「親としてはできるだけ刺激を与えず穏やかに暮らしていきたい。親の死後のことが心配なので、経済的な自立をしてほしい。」(70代・女性) 「何を言ったら心に響くんでしょう。普通に話すことはできるのに。分かりません。」(40代・女性)

日頃から凄惨な孤独死の現場をみている弊社では、8050問題の深刻化に強い危機感を持っています。8050問題が閉鎖された環境で悪化していくものである以上、どこかで外部から手を差し伸べるタイミングがなければなりません。「引きこもりに対して恥じる気持ちを持つ必要はなく、悲惨な結末を避けるために早期に周囲や行政に相談してほしい」とのメッセージを伝え続けることは非常に重要だと考えています。そしてご自身の家族・親族に8050問題に類似した状況が発生している場合は、その端緒を見逃さずに早期に手を差し伸べる行動をしてほしいと思います。ひきこもっている人物を自らの家庭で受け入れることには経済的負担も伴うため決して簡単ではありません。しかし社会から遠ざかっている期間が短ければ、就職先や新たな社会との関わりを見つけやすいのも事実です。悲惨な結末を避けるために、できる範囲で行動を起こしてください。

【お問い合わせ窓口】https://www.k-clean.jp/estimate/ ■社名:関西クリーンサービス【運営 A-LIFE(株)】■所在地:大阪市東成区深江北3-16-39■代表者:亀澤 範行■電話番号:0120-673-373■ホームページ:https://www.k-clean.jp/【沿革】2007年 関西クリーンサービスを創業大阪・京都・奈良を中心に「遺品整理」や「ゴミ屋敷」のご依頼にお応えする。2013年 奈良市に総合リサイクルショップ買豊堂を開店2017年 心理的瑕疵物件・事故物件を専門とした不動産買取会社フィルフォート株式会社を設立2019年 総合建築業・工務店 エーライフリノベーションラボを開業2019年、2020年、2021年、東京商工リサーチの調査により「遺品整理業」調べにおいてと3年連続ご依頼件数関西No.1を取得調査概要:8050問題に関する調査調査期間:2021年10月5日-2021年10月14日調査方法:インターネット調査モニター提供元:日本コンシューマーリサーチ調査人数:654人(グラフ①1244人)調査対象: 40代以上の引きこもりの方がいる30代~80代の全国の男女(本人含む)(グラフ①30代~80代の全国の男女)