HandyGamesの戦略を聞く。スイッチ『タウンズメン』パッケージ版の日本独自展開や、母子キツネの旅路を描く『Endling』などをリリースし、2022年をさらなる飛躍の年に!

HandyGamesの戦略を聞く。スイッチ『タウンズメン』パッケージ版の日本独自展開や、母子キツネの旅路を描く『Endling』などをリリースし、2022年をさらなる飛躍の年に!

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(写真:ファミ通.com)

HandyGamesの戦略を聞く。スイッチ『タウンズメン』パッケージ版の日本独自展開や、母子キツネの旅路を描く『Endling』などをリリースし、2022年をさらなる飛躍の年に!

文:古屋陽一 HandyGamesは、2000年にクリストファー氏とマーカス氏の兄弟によりドイツで設立されたゲームメーカーだ。当初はモバイルゲームやPCゲームの開発会社としてスタートし、徐々に事業を拡大し、パブリッシング事業も手掛けるようになった同社は、2018年からはTHQ Nordic傘下に。中世を舞台にした街づくりシミュレーション『Townsmen(タウンズメン)』や西部劇ステルスアドベンチャー『El Hijo - A Wild West Tale(エル・イホ)』などを発売。昨年末にリリースされた、声で操作するアクション『One Hand Clapping ワン ハンド クラッピング』も話題になった。【記事の画像(7枚)】を見る そんなHandyGamesは、とくに日本市場において、さらなるステップアップを果たすために、つぎの一手を考えているという。2022年を飛躍の年とすべく、どのような施策を練っているのか? HandyGamesのCEOであるクリストファー・カスルケ氏を直撃した。ゲームでストーリーを語りたいと思っていた――まずは、HandyGamesがどのような会社なのか教えてください。クリストファー HandyGamesは、2000年にドイツで創業した会社となります。2022年で設立22年目を迎えますが、当初はデベロッパーとしてスタートしており、デベロッパーとしては、ドイツでも老舗に入ります。 最初はPCゲームの開発を担当し、自社ブランドタイトルとしては、モバイルゲームを皮切りに、PCゲーム、家庭用向けゲームも作るようになり、いまはさまざまなプラットフォーム向けのゲームを開発しています。ここ5年は他社開発のタイトルのパブリッシングも手掛けるようになりました。私たちは多岐にわたるプラットフォームでゲームを提供しており、ユーザーさんはどのハードでプレイしたいかを好きに選ぶことができるわけです。――モバイルゲームやPCゲームを提供する会社としてスタートしたのですね。クリストファー 2000年ころは、ドイツには大きな家庭用ゲーム機向けの市場はなく、PCが大きな市場でした。そのため、HandyGamesはPCゲームの開発からスタートしました。当初は、私たち兄弟はユービーアイソフトなど大手パブリッシャーのゲームを開発していました。私たちがゲーム開発を手伝っていた大手の中には、もうゲーム業界に存在しない会社もあります。 一方で、私たちはオリジナルゲームを開発したいと思っていました。いまもそうですが、新しいゲームを作るチャンスは新しいプラットフォームが提供してくれます。そのプラットフォームで存在感を放つことで、大きくなれる可能性があるんです。当時PC市場ではSierraやエレクトロニック・アーツなどの大きなゲームメーカーがすでに席巻していました。しかしモバイルは何もかも新しく誰もいないに等しい状態でした。そこで私たちはモバイル向けにゲームを作ることにしたんです。これが私たちのスタート地点であり、いまもモバイルゲームを開発しています。――HandyGamesの原点はモバイルゲームにあるということですね。クリストファー はい。当時はとてもシンプルなゲームでした。私たちの最初のゲームは、言語、グラフィック、サウンドすべてを含めたファイルサイズが32キロバイトだったことを覚えています。いまはこんな小さなサイズのゲームは作れないですよね(笑)。 当時から変わらず一貫しているのは、私たちはゲームでストーリーを語りたいと思っていたということです。グラフィックだけではなく、ゲームの楽しさが大事なのです。――多岐にわたるプラットフォームでゲームを提供しているとのことですが、マルチプラットフォームで……というのが、HandyGamesのひとつの大きなポリシーなのですね。クリストファー そうですね。たとえば2021年12月に家庭用ゲーム機向けにも配信を開始した『One Hand Clapping ワン ハンド クラッピング』は、スマートフォンを含むすべてのプラットフォームでリリースしました。テクノロジーやデバイスで、ゲーマーを制限してはいけないと私たちは考えているんです。ゲーマーがどのようにゲームをプレイするかは自由であり、プレイしたい場所にも制約を設けるべきではありません。トイレでゲームを遊びたいという方もいるでしょうし(笑)、そこに限界を作るべきではないという判断ですね。 そのために、私たちはできるだけすべてのプラットフォームに向けてゲームをリリースする方針でいます。現在開発しているほとんどのゲームも、できるだけ多くのプラットフォームを対象としており、できるだけ多くのプレイヤーの皆さんにお届けしたいです。『ワン ハンド クラッピング』レビュー。さあ、歌おう! そうすれば道が開かれる。プレイヤー自身の声でギミックを解き、暗闇の世界に光をもたらす2Dパズルアクションhttps://www.famitsu.com/news/202201/17246545.html――とにかくユーザーファーストを貫くということですね。クリストファー その通りです。さらに言えば、HandyGamesではプレミアムゲーム(買い切りゲーム)を提供することに注力しています。とくに、いまモバイルゲームアプリのストアにはフリー・トゥ・プレイのタイトルが数多く並んでいますが、私たちが求めているのは、ユーザーさんに対して適正価格でゲームを提供することです。ユーザーさんには一度料金を支払っていただければ、それ以上のお金を求めようとは思いません。ゲームは一度だけ料金を払ってもらって楽しむというのが適したモデルであると、私は考えています。――ゲーム作りという意味においてこだわっているポイントを教えてください。クリストファー とにかく、“ゲームの楽しさ”を追求することでしょうか。とくに、私はゲームでストーリーを語りたいと思っています。HandyGamesのタイトルは、ストーリーにこだわっているというのは、共通の特徴としてあるかもしれません。――コンソールゲームに参入するようになったきっかけを教えてください。クリストファー 私たちのゲームがコンソールゲームのクオリティーに達したと感じたからです。ある年映画館を借り切ってクリスマスパーティーを開いたことがありました。そこで私たちが開発したモバイルゲームを巨大スクリーンで流したのですが、まるで私たちのゲームが映画館の大きなスクリーンをからかっているようにも思えたんです。同席した人たちほとんどが同じような感想だったようです。そこで、大きなスクリーン、つまり家ではテレビ画面ということになりますが、そこで自分たちのゲームをお見せしようということになったのです。テレビで見せるということは、PCではなくコンソールに行くということですね。――世界市場を視野に入れ始めたのはいつですか?クリストファー それは早くから考えていました。2000年のモバイルゲーム市場はドイツ市場が中心でしたので、ドイツやヨーロッパのデベロッパーは海外に出ていく必要はありませんでした。これは日本も似ていますね。大きな市場を持っているのですから、そこから立ち去る必要はないでしょう。 いまはモバイルゲームは、海外も含めてゲームを売らなくてはいけない。以前とは市場が違うということです。私たちはワーカービーの皆さんの助けもあって日本へ早期に進出することができました。世界中でパートナーを見つけることは大事です。日本には早くに進出し、2002年だったと思いますが、中国にも進出することができました。 近年は私たちも日本市場に対する理解が深まったと思います。外国人として日本のいろいろな変化を見てきました。日本にTHQ Nordic Japanの仕事仲間がいるというのは幸いなことです。私たちには実際に日本にいて、いまそこで何が起きているのかを伝えてくれる人が必要だからです。これはドイツにいては不可能です。市場をしっかりと理解して、その市場向けの開発を目指すことができるのです。――HandyGamesの戦略は、現地でHandyGamesの戦略を理解している人たちとコラボすることで世界展開をしていると言ってよいですか?クリストファー その通りです。私たちはTHQ Nordicグループに属していますが、パートナーでもあります。そのため多くの市場で地域レベルの活動ができます。同時に社内でも相互に話し合ってビジネスを先へ進めています。日本でのパッケージ版展開もその一例です。これはドイツにいてはできません。日本の仲間がいるからこそできることです。――日本市場に対する印象を教えてください。HandyGamesとしては、どの程度日本市場に力を入れていますか?クリストファー まずはすべてのゲームを日本語にローカライズするところから始めました。そしてゲームを単に言語を翻訳するのではなく、真の意味でのローカライズを行いました。たとえば、『Townsmen』は2002年にモバイルゲームとしてリリースした、当社のとても古いIPです。最新作の『Townsmen - A Kingdom Rebuilt(タウンズメン キングダムリビルト)』は日本でもよく売れています。私たちにとっては、市場をよく理解して、日本の皆さんが本当にほしいと思っているものを提供することが重要なのです。――日本に合うタイトル、合わないタイトルは確実にあると思いますがそれは気にせずに日本語で出すという方針なのですか?クリストファー それはゲームによります。日本でうまくいくかどうかを考えます。市場を選ぶニッチなゲームもあります。THQ Nordic Japanのスタッフとも話し合い、日本市場に合うかどうかを検討します。そしてあるゲームには追加のマーケティングを行うことも可能です。これはいちばん大事なことです。ドイツでは、“釣り人が嫌いな味の餌でも、魚が好きならよい”とよく言います。しかし私たちは粗悪なゲーム、味の悪いものを日本市場に向けて提供したいとは思いませんし、道理に反しています。日本にとって本当によいタイトルかどうかを検討します。もっとも重要なのはタイトルを押し付けないことですね。日本市場向けにパッケージ版に挑戦する――では、今後のHandyGamesの戦略を教えてください。クリストファー それはとても明確でして、すぐれた“トリプルI(アイ)”タイトルをリリースしていくことです。――“トリプルI”タイトルですか?クリストファー はい。PCや家庭用ゲーム機向けの市場では、ご存じのように大作を“トリプルA”と言いますが、私たちはそれをインディーゲームに援用して、“トリプルI”と呼んでいます。言ってみれば、すぐれたインディーゲームということですね。“トリプルA”は、親会社のTHQ Nordicに任せておいて(笑)、私たちはキラリと尖った“トリプルI”のタイトルを世界中に提供していきたいです。 実際のところ、HandyGamesもインディーゲームパブリッシャーなので、独立系のデベロッパーを応援していきたいと考えています。力のあるストーリーを、それに見合ったゲーム性でお届けできるゲームを開発してもらい、それをパブリッシュしていきたいです。私たちは、これまでも取り組んできたように、プレイヤーさんに感動してもらえるゲーム、そして頭脳を刺激して考えさせるゲームを、お届けしていく予定でいます。もちろん、基本すべてのプラットフォームに向けて、プレミアムゲームを提供していくという、私たちにとってもっとも重要な戦略は変わりません。そして、そんな戦略をベースに、2022年はさらに大きな挑戦をするつもりでいます。――それは何ですか?クリストファー ユーザーさんのニーズに応えて、より多くのゲームをパッケージ版でリリースしていくことです。パッケージ版はコスト面などから判断すると、ビジネス的には成り立ちづらい一面もあるのですが、ユーザーさんは“ゲームをコレクションしたい”、“商品を手にしたい”という気持ちを持っています。とくに日本のユーザーさんはそれが強いです。 そのため、まずは日本市場限定で『Townsmen - A Kingdom Rebuilt(タウンズメン キングダムリビルト)』のNintendo Switch版を、パッケージで発売することにしました。これは、私たちにとって初めてのパッケージ版となります。『Townsmen』本編自体は、2019年に配信されたタイトルなのですが、とても根強い人気を誇っていまして、日本のユーザーさんからもパッケージ版のご要望が多かったんです。そのため、ひとつのモデルケースとして、今回パッケージ版のリリースを決意しました。――『Townsmen - A Kingdom Rebuilt(タウンズメン キングダムリビルト)』のパッケージ版は日本だけなのですか?クリストファー はい。ただ、日本だけでパッケージ版をリリースすると世界中のファンが注目してくれますので、「我が国でも!」という声は出てくるかもしれません。なお、パッケージ版に関しては、2022年発売のいくつかのタイトルでも予定しています。 さらに言えば、特定のタイトルについては、世界のほかの市場でもパッケージ版のリリースを検討中です。タイトルによっては、パッケージ版のご要望がある市場もありますので、その場合はケースバイケースで判断していきたいです。先ほどもお話ししましたが、プレイヤーさんにはつねに適正価格でゲームを提供したいと思っています。パッケージ版はコストがかかりますが、できるだけご要望に見合った価格設定をしたいです。それが私たちとプレイヤーさんとの信頼関係につながっていきますので。スイッチ『タウンズメン キングダムリビルト コンプリートエディション』がパッケージ版とダウンロード版で発売決定。中世を舞台とした町づくりシミュレーションhttps://www.famitsu.com/news/202202/04250195.html――2022年は何タイトルリースする予定でいますか?クリストファー 多くのタイトルを予定していますよ! 『Townsmen VR』は、プレイヤーが神を演じるゲームです。過去に『Black & White』や『Populous』といったタイトルがありましたが、それに連なるゲームですね。街づくりシミュレーションで、神になれてとてもおもしろいです。息を吹きかけることで、風を吹かせることもできるんですよ。現在Steamにてアーリーアクセスでプレイできますので、ぜひ試遊してみてください。 『Endling』は私にとってもっとも重要なゲームです。本作はエコスリラーですが、PVをご覧になった方やデモをプレイした方はわかるかと思いますが、人の心を動かすものを持っています。地球で最後の母キツネをプレイすることになるからです。母キツネは3匹の子キツネを連れています。このゲームは好きになるというよりも、心に響くものです。涙を流す人もいるかもしれません。貴重なゲーム体験となるでしょう。 『A Rat’s Quest: The Way Back Home』は『ロミオとジュリエット』のようなストーリーです。ラットになってプレイする楽しいゲームです。クールでアクセス範囲の広いフリーなゲームですが、ラットの話でとにかくすばらしい。全キャラクターがフルボイスで、きっと心を惹かれて好きになっていただけると思います。このタイトルはアートワークを見たいと思う方が多いと予想していますので、おそらくパッケージ版を出すでしょう。 『DE-EXIT - Eternal Matters』は、死んでしまった主人公が冒険していくお話です。プレイヤーはすでに死んでいますが、本作では病気を扱いつつもその病気の説明はされません。スペインや南米には死後について語る文化がありますが、自分が死んだ後に誰が自分のことを覚えていてくれるのでしょう。とても深みのあるストーリーが展開されます。本作は、シネマティックな環境と音楽を巧みに使っています。 これらのタイトルはインディーゲームのトリプルIタイトルのつぎのステップになりえると私は期待しています。ちなみに、日本に関しては、さらなる野望がありまして……。――おお、どのような野望があるのですか?クリストファー 今後は、日本のすぐれたデベロッパーを見つけて、世界へ紹介したいと考えているんです。私たちは、本国ドイツはもちろんですが、スペインやメキシコのゲームも日本で展開しています。その逆のパターンとして、日本発のタイトルを世界で展開することがつぎのステップだと思っています。 私は日本が大好きですし、HandyGamesは日本市場にも注力しています。であれば、日本のデベロッパーを世に広めるお手伝いをしたいなと。何よりも、全世界から集めたゲームをワールドワイドのゲームファンに贈りたいです。それは、世界のデベロッパーが紡ぐストーリーをお届けしたいからでもありHandyGamesのパブリッシャーとしての願いでもあります。――対日本のデベロッパーでは、何か具体的な動きはあるのですか?クリストファー いまはデベロッパーを探しているところです。残念ながら日本の多くのデベロッパーは、ヨーロッパのパブリッシャーとのコンタクトを怖がっているような……。ご自身たちのクールなゲームをワールドワイドで展開したいと考えているデベロッパーがいたら、恥ずかしがらずに挑戦してほしいです。日本には恥ずかしがり屋さんが多いようです。私たちも身体が大きいので怖いと思われるようですが(笑)、ハートで仕事をしていますし、大事なのはゲームであり、外見は多少違っても考えていることはいっしょです。ゲームが私たちをつないでくれます。ゲームは国境を越えて通じるものであり、そのようなゲームを見つけたいです。――最後に、日本のゲームファンに向けてメッセージをお願いします。クリストファー 世に魅力的なゲームはたくさんありますが、世界中にある独立系デベロッパーのタイトルにも目を向けてみてほしいです。たまには違った角度からのゲームもプレイしてみていただけたらと思います。とても楽しい世界が広がっていますよ!

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