防災担当者必見!企業の防災備蓄品チェックリスト|記事一覧|企業・自治体向け防災情報メディア「防災ニッポン+」読売新聞

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いつどこにでも大地震が発生しうる日本では、企業の防災対策の有無がそのまま従業員の生死や事業継続などを左右します。また、事前に災害の発生可能性が警告される大雨や台風などの風水害については、ハザードマップに想定される影響の度合いが記載されていますから会社・事業所の立地エリアで災害リスクが想定されているにもかかわらず、対策を怠り被害が生じた場合は、従業員や取引先から訴訟などを起こされる恐れもあります。

企業において防災対策は、「行うべきかどうか」ではなく、具体的な計画を講じるべき対象です。「何をどの程度実行すべきか」なのです。そこで、本記事では、オフィスや事業所で事前準備すべき防災備蓄品をリストとして並べ、具体的な内容について解説します。

主にBCP・防災・総務担当者が、具体的な防災対策や備蓄品の調達をする際の参考となる内容となっています。BCPや防災備蓄品を準備する必要性、企業としてなぜ必要なのかといった概念については、別の記事でまとめていますので、経営層・マネジメント層の方はぜひあわせてご覧ください。

企業の防災備蓄のキホン!備蓄のポイント 立地条件別必要なモノと量https://www.bosai-nippon.com/biz/article/5360

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備蓄品の用意の前に実施すべき防災対策

防災備蓄品の準備は重要ですが、その前に「従業員の命を守る準備」を万全にする必要があります。拠点・オフィス単位で以下の対策項目が実行できているか確認してください。なお、今回は触れていませんが、初動対応では「安否確認」も必要となります。

□建物の耐震性は十分か(1981年6月1日以降に認可を受けた新耐震基準であるか)※不十分な場合は、耐震補強工事を実施するか、拠点の移転を検討しましょう。□大地震で転倒しそうな家具・什器・設備は固定されているか□大地震で落下しそうな荷物、移動しそうなキャスター付き機器の固定はできているか□窓ガラス・ガラスパーティションなどの飛散防止対策は取られているか※不十分な場合は、物理的な対策を講じましょう。□初期消火設備(消火器・消火栓)の準備があり、利用方法が周知されているか※不十分な場合は、消火設備の準備・周知・訓練などを実施しましょう。

□建物内の火災避難ルートが確保されており、従業員に対して避難訓練を実施したり、周知をしているか□建物周辺のハザードマップ(津波・浸水・土砂災害・地震火災)を確認し、事業所周囲の危険を把握しているか□屋外避難が必要な場合、事業所の最寄りの避難場所および、従業員を誘導するための避難ルートの確認はできているか※不十分な場合は、各資料の確認や周知・訓練などを実施しましょう。

最低限これらの対策は必須です。防災備蓄品の確保とあわせて自社の対策状況を確認してください。

オフィス向けの防災備蓄品

企業が防災のために準備しておくべき備蓄品として、まずは、基本的な防災備蓄品一覧を確認しましょう。

準備しておきたい防災備蓄品リストをジャンル別に紹介します。品名の右に数量の目安を記しました。

避難用品【優先度:高】□手袋・グローブ1人1組□LEDライト1人1つ□雨具・レインウェア1人1組【優先度:中】□ヘルメット1人1つ□ホイッスル1人1つ

救急・救助用品【優先度:高】□救助用品セット事業所・フロアごとに1式□応急手当セット事業所・フロアごとに1式

情報収集用品【優先度:高】□乾電池スマホ充電器1人1つ□予備の乾電池準備した機器の必要量×3日分【優先度:中】□ラジオ1人またはフロアに1つ

衛生・トイレ用品【優先度:高】□非常用トイレ1人15回分(1日5回×3日分)【優先度:中】□ウェットティッシュ1人1つ

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寝具・滞在用品【優先度:高】□毛布・簡易ブランケット1人1つ【優先度:中】□エアマット1人1つ

水・食料品【優先度:高】□飲料水1日3L×3日分□非常食9食分(1日3食×3日分)

続いて、ジャンルごとの防災備蓄品について解説します。防災担当者が防災備蓄品を具体的に調達する際に参考としてください。

オフィスの建物が水害(津波、高潮、洪水、浸水など)や土砂災害、地震火災などに巻き込まれる場所にあり、かつフロアがこれらの災害の影響を受ける恐れがある場合は、屋外への避難が必要になる可能性が高くなります。この場合、素早く安全に避難場所まで移動するための準備が必要です。

具体的な準備としては、ハザードマップなどで安全な避難経路および避難場所を確認しておくことに加え、最低限の「道具」を用意することが挙げられます。上記の「防災備蓄品リスト」の「避難用品」にある道具を最低限準備し、避難が必要な際に在社中の従業員が素早く身につけて建物から出られるようにしてください。

冒頭で述べたとおり、防災備蓄品の準備をする前に建物や室内の安全対策が不可欠となります。しかし、想定外の被害が生じる恐れは常にありますので、「救助」や「応急手当」に使用する道具およびスキルの用意は常時必要です。

救助用品としては、重量物の除去に必要な「バール」と「ジャッキ」を中心に、救助用品セットを購入し、建物やフロアのすぐ取り出せる場所に保管しておきます。

応急手当用品も、どのような物品が必要になるかを想定することは難しいため、従業員の5~10%程度の人数分を目安とした「○人用の応急手当セット」を購入するとよいでしょう。

避難の必要性や徒歩帰宅の安全性と可否を判断するため、また事業継続や復旧の計画を立てるためには、情報収集が不可欠です。停電が生じても携帯電話の基地局は数時間~半日程度稼働しますので、スマートフォンによる情報収集が便利です。充電手段として、ポータブル電源や乾電池式モバイルバッテリーなどを用意してください。

また、停電が長期化している場合や携帯電話基地局が災害によって破壊・破損された場合は、ラジオが唯一の情報源となることがあります。情報収集用品や対策本部用品として、ぜひラジオを準備してください。個数は、屋外避難の可能性がある場合は1名に1つ、建物にとどまる計画の場合はフロアに1つが目安となります。

なお、日頃からラジオを業務などで用いる場合は充電式のものが望ましいですが、非常時専用とする場合は、充電切れを回避するために、乾電池タイプのものを選択し、予備の電池もあわせて備蓄するようにしてください。

大地震などの影響で断水が発生すると、建物のトイレや水道が利用できなくなる場合があります。水や食料の配付は多少遅れても問題ありませんが、トイレの需要は発災直後から生じます。水の流せないトイレを無理矢理使用した場合、その後の衛生管理に大きな問題を抱えることになりますので、事前対策が不可欠です。

非常用トイレセット(袋と凝固剤がセットになっていて、オフィス内トイレの便器をそのまま利用するタイプ)を準備し、発災時にすぐ設置できるよう計画を立てておきましょう。

また、衛生管理のため手指消毒用のスプレーやウェットティッシュなどの準備も必要です。感染症対策用品があれば、流用できるようにしておくとよいでしょう。

都市部にオフィスがある、あるいは電車通勤の従業員が多い場合、大規模災害で鉄道などが運休すると、従業員が徒歩で帰宅しようとするケースがあります。しかし、被災地の徒歩帰宅は大変危険で、死傷者が生じる可能性もあります。よって、このような場合は「徒歩帰宅の抑制」を呼びかけることが大切ですが、従業員がオフィスに留まるには最低限の寝具やプライバシー確保の道具が必要になります。

寝具としては、「毛布」や「エマージェンシーブランケット(アルミブランケット)」が候補になりますが、予算と保管スペースが許せば前者を、難しい場合は後者を用意します。

ただし、冬場の気温が氷点下になるような地域の場合、停電により暖房が停止すると凍死の恐れがあるため、毛布をはじめとする防寒用品は多めに準備してください。

また、空気を入れて膨らませるエアマットを用意できると、睡眠や休息時の快適性が向上します。全員分の用意が難しい場合は、要配慮者やBCP要員分だけでも用意できるとよいでしょう。

飲料水の目安は1名あたり1日3Lで、用途は「飲料」以外に「調理・衛生・熱中症対策」なども含みます。

コスト面では2Lのペットボトルのほうが割安ですが、配付や管理の手間を考えた場合は500mlのボトルが便利です。特に飲料用にはコップが不要となる500mlボトルのほうが適していますので、うまく使い分けるようにしてください。

非常食の目安は3日分ですが、どの程度充実したものにするかは予算と保管スペースで決まります。温かい食事が食べられるセットなどがあればより良いですが、予算などが限られる場合は1日1食だけでも良い食事にする、BCP要員だけは温かい食事を食べられるようにする(この場合は食事や滞在スペースも分ける)などの工夫が必要です。

防災備蓄品の保管

最近では、新型コロナウイルス感染拡大の影響もありリモートワーク化が進んでいますが、防災担当者がリモートワークなどで社内にいないタイミングで発災することもあります。このような場合に備えて、防災備蓄倉庫は誰もがアクセスできるようにし、マニュアルなどを作成して物品の収納場所や使い方がわかるようにしておくとよいでしょう。

防災備蓄品を用意し、在社中の発災に備えましょう

防災備蓄品の用意は、平時であれば多くの選択肢の中から、比較的割安に調達することが可能です。しかし、大きな災害が近づいている場合や、どこかで大規模な災害が発生した場合は、あっという間に市場在庫が払底してしまい、調達が困難となります。防災対策は、発災時ではなく平時が本番です、ぜひ何もおきていないうちに、必要な物資をご準備ください。

<執筆者プロフィル>高荷智也合同会社ソナエルワークス代表|備え・防災・BCP策定アドバイザー「備え・防災は日本のライフスタイル」をテーマに、大地震や感染症などの自然災害から、銃火器を使わないゾンビ対策まで解説をする防災の専門家。講演・執筆・メディア出演の他、防災YouTuberとしても多くの動画を配信中。

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