HDD出荷金額は監視や仮想通貨特需で3年ぶりに拡大も、2.5インチは終息へ

HDD出荷金額は監視や仮想通貨特需で3年ぶりに拡大も、2.5インチは終息へ

2021年のHDD出荷台数は前年比でほぼ横ばいの見込み

楠本氏は講演の始めに、HDD市場(世界市場)の推移を概観した。一昨年(2019年)と昨年(2020年)の実績、それから今年(2021年)の予測である。なお2021年第2四半期までは実績数値なので、2021年は下半期(第3四半期と第4四半期)だけが予測値となっている。数値は出荷数量、出荷金額、平均単価、総出荷記憶容量、ドライブ1台当たりの平均記憶容量である。

一昨年(2019年)と昨年、今年のHDD市場(世界市場)。2019年と2020年は実績、2121年は予測。出典:テクノ・システム・リサーチ

HDD出荷金額は監視や仮想通貨特需で3年ぶりに拡大も、2.5インチは終息へ

 2019年のHDD市場は、出荷台数が前年比15.4%減の3億1,766万台、出荷金額が同10.4減の221億4,100万ドル、平均単価が同5.8%増の69.7ドル、総出荷記憶容量が同5.5%増の902.5EB(エクサバイト)、ドライブ1台当たりの平均記憶容量が同24.7%増の2,841.2GBとなった。近年のHDD市場は出荷台数と出荷金額が減少傾向、1台当たりの記憶容量と平均単価は上昇傾向にある。2019年も近年と同様の傾向となった。

2020年のHDD市場は、出荷台数が前年比18.2%減の2億6,000万台、出荷金額が同8.4%減の202億8,300万ドル、平均単価が同11.9%増の78.0ドル、総出荷記憶容量が同12.9%増の1,019.1EB、ドライブ1台当たりの平均記憶容量が同38.0%増の3,919.5GBである。出荷台数は2桁減が続いたものの、ドライブ当たりの記憶容量と平均単価が上昇したことによって出荷金額の縮小ペースが鈍化した。

 2021年のHDD市場は、出荷台数が前年比1.0%減の2億5,737万台、出荷金額が同10.7%増の224億6,100万ドル、平均単価が同11.9%増の87.3ドル、総出荷記憶容量が同28.8%増の1,312.4EB、ドライブ1台当たりの平均記憶容量が同30.1%増の5099.4GBと予測する。

 今年は出荷台数の減少傾向がさらに鈍ってほぼ横ばいになるともに、ドライブの記憶容量と平均単価が上昇した。この結果、出荷金額が2018年以降では初めて上昇に転じた。

HDDの出荷台数と出荷金額、平均単価の推移と予測(1990年~2026年)。2020年までは実績、2021年以降は予測。出荷台数は2020年まで6年連続で減少が続いている。出典:テクノ・システム・リサーチ